院内医療活動
院内活動と各種委員会
臨床倫理検討チーム
医療の現場では、日々の診療の中で「どのように対応するのが最も患者さんにとって良いのか」「患者さん自身の意思をどう尊重するか」といった、倫理的な課題が生じることがあります。当院では、そうした課題に対して多職種で話し合い、患者さんの生命と人権を尊重する立場から、生命倫理・臨床倫理の考え方に基づいて検討を行うために、『臨床倫理検討チーム』を設置しています。
チームメンバーは医師、看護師、医療ソーシャルワーカー(MSW)、薬剤師、医療安全責任者、事務、隣接特養相談員が在籍し、多角的な視点を持って活動しています。
主な活動内容
- 多職種による事例検討
- 倫理的視点を踏まえた院内対応の指針やマニュアルの整備
- 「全職員向けの学習会」実施による職員教育
- 法人全体でのACP推進活動
「みらいの手帳」作成とACP(アドバンス・ケア・プランニング)の推進
2024年には、臨床倫理検討チームが発進となり、ACPワーキングチームを立ち上げました。自律尊重、意思決定支援の推進をめざして、情報共有ツールとして「みらいの手帳」を作成しました。この手帳は、法人内の各事業所と連携しながら活用を進めています。ご自由にご活用ください。
*ACP(アドバンス・ケア・プランニング)とは、もしものときのために、自身が望む医療やケアについて前もって考え、家族や医療・介護従事者と繰り返し話し合い、共有する取り組みです。その愛称は「人生会議」と呼ばれ、人生の最終段階における医療や介護について、意思が表明できなくなる前に、本人の意思を明確にしておくことが目的です。
RST(Resperatory Support Team:呼吸ケアサポートチーム)
呼吸ケアサポートチーム(Respiratory Support Team)は医師、看護師、理学療法士、臨床工学技士など、多職種で構成された医療チームです。人工呼吸器管理が必要な患者さんだけでなく、気道管理や酸素療法、呼吸リハビリテーションなど、呼吸ケアを必要とするすべての患者さんを対象に、安全で質の高い医療・看護ケアをめざして活動しています。
学習会の一例場面

ICT(Infection Control Team:感染制御チーム)
感染対策委員会の下部組織として「下越病院 感染制御マニュアル」に基づき、医療現場に密着し自ら率先し、感染対策活動を立案・実行・評価することを目的とした実践的作業チームです。チームメンバーは、医師、薬剤師、臨床検査技師、看護師で構成し感染対策に取り組んでいます。
主な活動内容
- 手指衛生(手洗い、手指消毒)実施の強化
- 全職員研修会の実施
- 院内感染ラウンドの実施
- 抗菌薬適正使用の推進
AST(Antimicrobial Stewardship Team:抗菌薬適正使用支援チーム)
薬剤耐性(AMR:Antimicrobial Resistance)対策の推進、特に抗菌薬の適正使用の推進を行うチームです。チームメンバーは医師、薬剤師、臨床検査技師、看護師で構成しています。
主な活動内容
- 広域抗菌薬等の特定抗菌薬使用患者のモニタリング及び臨床支援
- 血液培養陽性患者のモニタリング及び臨床支援
- アンチバイオグラムの作成
- 抗菌薬適正使用に関する全職員研修会の開催
NST(Nutrition Support Team:栄養サポートチーム)

栄養サポートチームは、医師・看護師・薬剤師・管理栄養士・言語聴覚士などの専門職が職種や診療科を超えてチームを組み、患者さんへの栄養管理を行っています。患者さんやご家族の希望に配慮しながら、適切な栄養管理ができるようサポートしていきます。2022年より、日本栄養治療学会の教育認定施設として、臨床実地修練の院内外の参加者を受け入れています。他施設とも交流しながら、日々栄養管理のレベルアップを図っています。
褥瘡(じょくそう)対策チーム
当院の褥瘡対策チームは、2002年に結成されました。医師、看護師、薬剤師、管理者栄養士、作業療法士といった多職種で構成されており、下越病院での褥瘡を減らすために活動しています。また、褥瘡対策に関する医療の質(quality indicator)の向上を目指して、褥瘡発生率の低減と褥瘡予防に関する知識と技術を深めるため院内教育活動も行っています。
食のサポートチーム

緩和ケアチーム
当チームは、2010年4月より活動を続けています。院内における緩和ケアの推進を目的に、カンファレンスを中心とした困難事例の検討や、院内学習会の企画・運営等を行っています。患者さんとご家族の「からだ・こころ・社会的・スピリチュアル」な苦痛を和らげ、その人がその人らしくより良く生きることができるように多職種で支援をしていきます。

チームメンバーの役割
- 週1回のカンファレンスによる困難事例の検討と助言
患者さん、ご家族の苦痛や支援上の課題について多職種で話し合い、より良い支援方法を検討します。
- 研修や学会への参加と報告による情報共有と学びの情報伝達
外部研修や学会で得た知識や実践報告を院内で共有し、緩和ケアの質向上につなげます。
- 緩和ケアマニュアルの作成、修正、各部署への情報伝達
院内で統一したケアが実践できるよう、マニュアルの整備と各部署への情報発信を行います。
- 学習会の企画、運営
院内職員を対象とした学習会を企画・開催し、緩和ケアの理解と実践力の向上を図ります。

